今回は滅菌とは何かから始めてまいりたいと思います。
横浜駅きた西口歯科では開業時にClassB、Sの滅菌機を導入しました。
ではそもそも、「滅菌された」とはどういった状態を指すのでしょうか。
また消毒との違いはなんでしょうか。
消毒、滅菌は確率的な概念とされています。
消毒は処置後に生存する微生物が処置前の10万分の1まで減っていること。
滅菌は処置後に生存する微生物が処置前の100万分の1まで減っていなければいけません。
この条件を満たしていれば消毒、滅菌したと言うことができます。
消毒、滅菌との違いは処置後の残存微生物の量で、滅菌の方が多くの微生物を減らすことができるということがわかります。
しかし、「無菌状態」ではないのです。
ここにも誤解が多いのではないかと思います。
またこの定義を基準にするならば自院の滅菌機が正常に機能しているかを確認するためにはこの生存微生物数を確認する方法が良いかと思われますが、これを一般の歯科医院で日常的に行うことは実質不可能です。
そのため、RKIガイドラインを採用しているヨーロッパ諸国では「毎朝の試運転」を行い「高圧蒸気滅菌機の効果を物理的な方法で確認すること」で上記の基準を満たしていることを保証するという手法をとっているようです。
これはどういう方法なのでしょうか。
以前の記事の中でEN13060によるClassB、ClassS、ClassNの分類は機材内部への蒸気到達率による分類であると記載させて頂きました。
そこでClassB、ClassSに適した内部構造が複雑な専用試験機材を朝一で滅菌することで実際に機材内部に蒸気が行き渡っているかを確認することで当日の機材がきちんと滅菌しうるものか確認する(Helix Testと呼ばれています)ようです。
このことを参考に横浜駅きた西口歯科ではClassB、ClassS専用の試験機材PCD(Process Challenge Device)、BMS(Batch Monitoring System )を導入し、Helix Testの実施を日常業務に組み込むことに致しました。
しかし、仮に滅菌保証ができた機材であっても、私共の所作が不適切であればすぐに汚染機材になってしまいます。
ですからこの取り組みだけでは不十分で、私どもが無意識に汚染を広げないよう注意しないといけないなと考えております。
機材を導入するよりも、こういった地道な取り組みの方が困難だと感じていますがスタッフとともに取り組んでまいりたいと思います。
横浜駅きた西口歯科
清水勇策